背景・課題
セラミックスの原料は無機質の固体粉末であり、その純度や粒径、粒度分布などが高精度に管理・調合されています。得られた粉末はバインダー(粘結剤)と混合され、成形性を付与された後、精密成形や機械加工を経て成形体が作られます。最終工程の焼成では、まず原料中の水分やバインダーが脱離し、その後、高温環境下で粉末粒子同士が拡散・融合して空隙が消失します。結果として緻密で高硬度なセラミックス製品が得られます。
精密成形する際、原材料の混ざり具合により、密度分布にムラが発生する場合があります。この密度分布のムラは、後工程で焼結する際の変形の原因となる場合があります。
焼結後の変形は修正できないため、その製品は廃棄となってしまいます。これは材料のみならず、焼結に使用するエネルギーも廃棄している事と同等です。
多層セラミックス基板やLTCCなどに用いられる未焼成シートのグリーンシートでも同様の問題が懸念されます。グリーンシートは、厚さ数十μm~数百μmに制御された状態で供給され、切断・印刷・積層・ラミネーション後、脱バインダー⇒焼成工程を経て高密度セラミックス基板へと仕上げられます。原料スラリーをローラーで均一にキャストし乾燥機で乾燥するシートキャスティングの段階や、シートを重ね、温度・圧力をかけて接合する積層・ラミネーションの段階で密度のバラツキが把握できれば、焼成前に不具合が発生しそうな箇所が可視化できます。事前にわかれば、焼く前に再度生成しなおすことで材料を無駄にすることなく再利用することが可能です。
従来の密度計測は一個体の全体評価のため、場所ごとの粗密を把握することができませんでした。
弊社のミリ波測定技術を使えば、密度に応じてミリ波の透過波長が変化するため、密度分布を非破壊・非接触にて測定することが可能になります。
グリーンシートの状態で密度のバラツキを把握することが出来るようになるのです。
導入事例


本装置は、計測対象物へミリ波を照射し、反射波を弊社独自の信号処理で解析することで密度分布を可視化します。ミリ波は物質を透過し、異なる物質の境界面で反射する特性があります。また、物質内部を伝搬するミリ波は密度に応じて波長が変化する為、密度の違いが到達時間の差として表れます。同じ材質の場合は、到達時間の差は密度や物性の違いとなります。
この現象を利用して物質内部の密度分布を非破壊・非接触にて検査します。
グリーンシートの状態で密度のバラツキが把握できれば、焼結前に変形してしまうことが分かります。事前にわかれば、焼く前に再度成型しなおすことで材料、エネルギー、作業工数を無駄にすることなく再利用することが可能です。
導入メリット
本装置は場所ごとの密度分布を定量的に計測できるため、これまで見えなかった製品内での密度のバラつきが評価可能です。
密度分布計測により、安定した高品質の製品を生産することが可能になります。
計測した密度のバラツキを上流側にフィードバックをかけることにより、安定して高品質の製品を作り続けることが可能になります。
インラインでリアルタイムに密度を計測することで製品の質量管理に活用し無駄を省けば、効率的な材料の使用につながりコスト削減にも貢献できます。焼結工程におけるエネルギーロスの改善や無駄な製造工数・コストの削減にもつながります。
密度計測をする人手も不要となり、人手不足の解消や生産工程の自動化も実現可能となります。
また、反射方式で設置が出来るため、インラインへの設備導入も簡単におこなえます。X線やβ線と違い、放射線管理や法令対応なども不要です。
センサー本体のサイズも小型なので設置も容易におこなえます。生産ラインへの設備導入が非常に簡単です。


